汐見稔幸『教えから学びへ』〜VUCA時代を生き抜く「エージェンシー」と「教養」の育て方

「教えから学びへ」は、教育学者である汐見稔幸さんが語る、教育を時代の変化に適応させる方法論です。「教育」の定義が気持ちよく理解でき、親として、1人の人間として、自分の取るべき行動がはっきりとしました。本書の内容を、自分の解釈も含めてままとめます。


読書ノート

自分のため、そして子供達に伝えていくためにまとめました。

※引用元については、ページ数を記載しています。自分なりの解釈も含めたまとめノートです。順番や内容が本書とは違う箇所があります。

学びは喜びだ!

人はどうして勉強をするのでしょうか?

誰でも簡単に書籍やインターネットで知識を得ることができる今、親や教師が「教える」だけの勉強は意味を成さなくなっています。

主体的に「学ぶ」姿勢がないと、人としての成長は難しいです。

これは、子供だけでなく大人にも言えること。

本書には、このような文章があります↓

「知的活動は、知識の最前線であろうと、第三学年の教室であろうと、どこにおいても同じものである」P206(アメリカの心理学者ジェローム・ブルーナー「教育の過程」序論)

「学び」の過程は、発達段階に応じていれば、小学3年生でも大人でも基本構造は同じ。だから、子供の「学び」を紐解くと、それは大人の私たちにも応用が効くのですね。P210

本来、何かを学べるのは楽しくて仕方がないもの。没頭し、熱中する時間は「喜び」であり、人間にとって「宝物」なのかもしれません。

難しい問題を解く過程を楽しんでいる中学生の息子を見ると、まるでゲームをしているのと同じだなと思います。

私は本から学ぶのが大好きで、内容をまとめるのも楽しくて仕方がありません。この気持ち、大事にしたいです。

学ぶ本当の目的とは?

本書には、学ぶ目的が大きく3つのステップに分けられていました。

  • 自分の関わり方:そこに自分がどう関わることができるのかを見つける
  • 自分の自己実現:自分が何をしている時に生き生きするかを見つける
  • 社会の自己実現:みんながいい顔をして生きていくための方法を見つける

学ぶ目的を見つけるのは、生きる目的を見つけるのと同じ。

自分の自己実現だけでなく、自分が何に貢献できるのかをじっくりと考えることこそが、生きる意義なのかもしれません。

↓同じような内容が書いてある本の読書ノート&レビュー。子育てや教育に関わる人におすすめ。

なぜ僕らは働くのか[池上彰監修] 感想&まとめ

これからの必須能力「エージェンシー(当事者性)」

これからの時代に最も必要とされる能力が、「エージェンシー=当事者性」です。

エージェンシーとは、「変化を起こすために、自分で目標を設定し、振り返り、責任を持って行動する能力」のこと。

誰かに言われたからやるのではなく、自律的に活動し、多様な人々と協働(コラボレーション)しながら、自分ごととして課題に取り組む姿勢が問われています。

教育業界では「主体性」とういう言葉で定義されていますね。

「博識」と「教養」は違う

個人的に一番腑に落ちたのが「教養」の定義です。

単に知識がたくさんある人 = 博識

分化した知識をつなぎ直し、全体の中で自分を位置づけられる人 = 教養がある人

知識の点と点をつなぎ合わせ、自分の世界を広げていく。無知の知(自分が知らないことを知っている)を自覚し、常にアンテナを立てておく姿勢こそが「教養」なのです。

正解のないVUCA時代においては、アート&デザイン思考で「自分なりの解(適切解)」を作っていく楽しさが求められています。

子どもを育てる人が知っておくべき「体験知」

ノートの2枚目は、子育てや教育に携わる大人に向けた視点です。

学びが深まるプロセスにおいて、心理学者ヴィゴツキーの言葉が非常に印象的でした。

ただ言葉の「意味(辞書的な意味:meaning)」を知るだけでなく、自分の経験からの価値づけ(sense)が重なることで、本当の理解へと深まっていきます。

そのためには、大人側が「問い」と「答え」の間を長くとってあげることが重要です。すぐに正解を教えるのではなく、「体験知」を増やす工夫が必要です。

教育における大切なアプローチ

子どもたちが没頭し、熱中できる時間を作る!

自分が生きている世界や社会の課題を具体的に知り、その解決と自分の夢・希望をつなげるサポートをする。

認知スキルと非認知スキル

最後に、子どもたち(そして大人)に身につけたい2つのスキルについてです。

認知スキル:読む力、書く力、計算力、創造的思考力、批判的思考力、問題解決能力など(目に見えやすい学力)

非認知スキル:忍耐力、自制心、レジリエンス(回復力)、責任感、好奇心、精神的な健康など(数値化しにくい内面的な力)

特にこれからの時代は、心の土台となる「非認知スキル」が極めて重要です。これが育つことで、心身のウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)や、前向きに生きる力へと直結していきます。

おわりに

『教えから学びへ』を読み解きながらノートにまとめてみると、教育とは「教え込むこと」ではなく、「子どもが自ら学ぶ環境をデザインすること」なのだと強く感じました。

「エージェンシー」や「非認知スキル」は、子どもだけでなく、日々を生きる私たち大人にとっても欠かせないテーマです。日々の暮らしの中で、少しでも「体験知」を増やし、自分なりの「適切解」を見つける楽しさを味わっていきたいですね。

皆さんの学びや子育てのヒントになれば幸いです!