独学の技法[山口周著]を読んでの感想&内容のまとめです。
「独学の技法」要約&感想
組織開発・リーダーシップ育成などを専門とする山口周さんが、実践的な知的生産の方法を余すところなく披露している本です。
論理的なストーリー展開が気持ちよく、学びを「知的生産システム」という一貫した流れで捉えているところがスマートで素敵。
歴史上の偉人や、現代のカリスマ経営者の言葉が随所で関連づけられ、読み進めるごとに“知性の輝き”にほろ酔いします。
演繹や命題など数学的な言葉が出てきますが、一つ前に読んだ本(具体と抽象[細谷功著])と照らし合わせながら考えると、スッと腹落ちしました。
あまり知られていませんが、偉人たちの多くが、独学でイノベーションを起こしたそうです。
なんだか少し、勇気をもらえますよね。
著者である山口周さんも、MBAを取得せずに独学のみで外資系コンサルになった経歴の持ち主だそうです。(参照:amazonの商品リンク)
第4章には、知性が身につく読書術の紹介、最終章には武器となる本のリストが99冊も掲載されており、盛りだくさんです。
↓目次を見るだけで、リベラルアーツの重要性が分かる!
読書ノート
勉強に関係ある内容だったので、今回は、英会話と語彙力ノートに使っている測量野帳にまとめました。
※自分の解釈でまとめたノートです。内容や単語が違う箇所が多くあります。詳しくは本書をご覧ください。
まとめノートをもとに、自分が取り入れられそうなことを、箇条書きで記録しておきます。
知的生産システム
本書では、学ぶ過程を4つの段階に分けています。
- 戦略
- インプット
- 抽象化・構造化
- ストック
最終的な目標は、限られた情報で、より良い意思決定ができるようになることです。
戦略
まず最初に、自分が目指す方向(目的)を決めます。
あまり細かく決めてしまうと融通がきかなくなるので、ざっくりと方向性を定める程度にするのがコツ。
自分をどうプロデュースしていくか?
興味や仕事で追求したい論点が、自分プロデュースのテーマになります。
そのテーマに沿った様々なジャンルが、アンテナに引っかかるように日々行動します。
※順番を間違えてはダメ。「哲学」「心理学」「経済」などのジャンルが先ではなく、「テーマ(例):社会の貧困問題を解決したい」から「経済」を学ぶ・・・のように、テーマが先です。
インプット
方向性が定まったら、方向性を確認しながらのインプットです。
学びの成果=密度×時間
時間は24時間と限られているので、学びの成果を上げるためには密度(稼働率)を上げる必要があります。
つまり、遊んでいる時や移動時も、なんとなくアンテナを張っておくようにします。しかし、情報過多のこの時代なので、インプットしないものを決めるのも大事です。
学びの3大キーワード
- serendipity(偶有性)
- curiosity(好奇心)※
- bricolage(起用仕事)
※本書では好奇心ではなく「知的欲求」と書かれています。
P101〜で説明してある、「ブリコラージュ」という概念は、初めて知りました。
本書での説明↓
「何の役に立つのかよくわからないけれども、なんかある気がする」というグレーゾーンの直感
参考までに、wikipediaからの引用↓
ブリコラージュ(Bricolage)は、「寄せ集めて自分で作る」「ものを自分で修繕する」こと。(中略)理論や設計図に基づいて物を作る「設計」とは対照的なもので、その場で手に入るものを寄せ集め、それらを部品として何が作れるか試行錯誤しながら、最終的に新しい物を作ること
宝となる情報やモノは、意外と自分の近くにあるのかもしれませんね。
P127〜で説明してある、ジグゾーパズルに例えた「メトニミー(換喩)読書術」と「メタファー(隠喩)読書術」がまた秀逸でもう感涙もの。
読書だけでなく、学び方の全てに適用することができるなと感じました。
抽象化・構造化
インプットされた情報は、そこから示唆や洞察を得て初めて知性となります。
つまり、得た情報の本質を自分の言葉でまとめ、それを転用できるレベルまで持って行ってこその勉強だということです。
- 抽象化=本質を考えてまとめる
- 構造化=具体的に実生活に転用する
情報だけでは何も起きませんが、抽象化・構造化を経た知性は意思決定の質を上げます。
それにしても、この章で紹介されているアインシュタインの思考プロセス図は、まさに知性の鏡。
「具体と抽象[細谷功著]」と似た考え方ですが、そこに数学的な考えを持ち込んでいるところがさすがです。
仮説形成のプロセス(アブダクション)という言葉も、初めて知りました。
世の中、知らないことだらけだなと痛感です。
↓この章に関しては、こちらの本を読んでからの方が理解が深まります。
ストック
いくら抽象化・構造化ができても、それをバラバラの状態で放っておいたら宝の持ち腐れです。
「思考は整理しないと使えない!」
著者は捕まえた魚をイケスに入れる例えを用いて「ストック」の概念を説明しており、なるほど!と分かりやすかったです。
↓知性の活用法
自分の持っている本性や興味を主軸に、クロスオーバーでユニークなポジションを作る!
最初に練った「自分プロデュースの戦略」は、掛け算で最大化することができます。
例:「デザイン×テクノロジー=アップル社」
iphoneの登場は、目の前で化学反応が起きたかのような衝撃でしたね。
掛け算できる知性って、自分の場合は何だろう?と考えてみると良さそうです。
1つの分野で勝つことは難しくても、2つの掛け合わせ分野で勝つことができるかもしれません。
参考図書&リンク
↓今回の本です。
↓同じ著者の本です。こちらも面白かった!!
↓レビューです
↓教える立場で「学ぶとは」を説いた本です。
↓使っているノート&ペンです。
あとがき
勉強に関する本はたくさん読んできましたが、著者が違えば「学ぶこと」の定義や考え方が違って面白いです。
自分に合った方法を、マイペースに取り入れていこうと思います。
P110〜の「心地よいインプットに用心する」は、読んでいて耳が痛かったです。SNSで情報収集をしていると、そのほとんどが心地よい(自分に関心があることだけ)なので。
何事もバランスが大事ですね。
この本は、自分のいる立場や環境によって随分と解釈が異なる本だと思います。
また数年後、環境が変わったら精読してみます。
その前に、リベラルアーツの本を何冊か読もうかな〜。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今日も、良い1日を〜♪