「教える」ということ〜日本を救う、 尖った人 を増やすには〜[出口治明著]を読んでの、感想&内容まとめです。
本の概要と所感
本書では、APU(立命館アジア太平洋大学)の出口治明学長が、長年にわたって見出した「教える」ということの本質を説いています。
「教える」と「学ぶ」は、表裏一体。
私たちは、日々誰かに「教える」機会があるのですが、「学ぶ」人の状況・思考回路を理解していないと、的確な教え方はできません。
つまり、学ぶ人に合わせて、教え方を変える必要があるということです。
子供に教える時、部下に教える時、パートナーに教える時では、「教える」目的や言葉づかいが違います。
学ぶ側のモチベーションを高く保つためには、どのような工夫が必要なのか。
どのようなステップで、どこに重点を置いて教えるのか。
「子供の教育」「社員の教育」を表面的なもの(形だけ)にしないために、「教える」先の未来を見据えた言葉がけが大事。
「教える」側は、「学ぶ」側に学習の楽しさを伝えることができれば、一生学び続ける姿勢を育てることができます。
教えるというのは責任重大かつ、壮大な仕事なのですね。
一方で「学ぶ」側は、学んだ内容をアウトプットすれば、さらに記憶が強固なものになり、行動力や事象同士を結びつける能力が高まることが知られています。
アウトプット大全を読んで、その重要性は認識していましたが、出口治明さんの箪笥(たんす)の例えがうまくて腹落ちしました↓
私たちが箪笥の中を片付けるのはなぜかといえば、衣服を整理せずに詰め込んでしまうと、取り出しにくくなるからです。
人間の脳も箪笥と同じです。インプットした情報を整理しておかないと、うまく取り出すことができません。
確かに。
では、どうすれば頭の中の情報を整理できるのでしょうか?
インプットした情報を、自分の言葉に置き換えることが一番です。人間は言語化することでしか、自分の考えを整理することができません。
つまり、、、、
思考は整理しないと使えない!
心が動いたらアウトプットすべし!
素晴らしい学びを得たら、きちんとアウトプットすることが大事。
読書ノートも、その一助になっていると信じています。
読書ノート
左:教える人(大人・上司・親など)が知識として知っておきたいこと、右:学ぶ人(子ども・部下・自分自身など)が意識すると良いことをまとめました。
※かなり自分の解釈や主観が入っており、言い回しを変えたり付け足したりしています。詳しい内容は本書をご覧ください。
「教える」ということ
教えてもらえない→知らない→不安になる→行動しない。
世の中には知らない方が良いことも多々ありますが、知っておかないと行動範囲が狭まってしまうことも事実です。
私たち大人は、この社会の子供達に何を教えることができるのか?
社会の子どもたちは、どうやったら自分で学び続ける人になれるのか?
双方の視点を織り交ぜながら、箇条書きでまとめます。
教育の目的(大人ができること)
- 社会で生き抜くための武器を与える
- 自分で考える力を養う
- 人生を楽しむ姿を見せる
社会で生き抜くための武器を与える
政治・経済・社会のしくみ、事実をどのように捉えるのかという視点は、大人が正しく教える必要があります。
それに加えて、事実を的確に解釈する力(ファクトフルネス)も養う必要があります。
↓ファクトフルネスについての参考記事2つです。プレジデント雑誌&本の概要をそれぞれまとめています。
自分で考える力を養う
ネットのコピペだけしかできない人間は、AIに置き換えられてしまいます。
自分の言葉で言うのが、とにかく大事。
↓考え方についての本。
↓思考を鍛えるための本。
人生を楽しむ姿を見せる
いろいろな世界を子どもに見せて、子どもの興味や関心を引き出す
大人が楽しくやっていることは、子どもにとって魅力的。
上司が楽しくやっている仕事は、部下にとって魅力的。
楽しむ心を持っている人は、周りの人にとって魅力的。
結局は、マンパワー。
勉強をする理由(目的)
人間は、人・本・旅からしか学べないと、著者は言っています。
その中でも旅は最も大事。
旅と言っても、遠くまでお金をかけて行かなくても大丈夫。
現場に出て五感を駆使しての学びこそが、人の器を大きくします。
↓読書のススメ。
勉強をする理由を聞かれたら、この3つ。
- 選択肢が増える
- 生涯収入が高くなる
- 幸福度が上がる
勉強を楽しむことができる人の生涯収入が高くなる理由は、上司からのアドバイスも素直に聞き入れたり、自分から考えて行動したりできるので、可愛がられて出世しやすいから。
一理あるなと思いました。
学びのプロセス(子どもにつけたい力)
まずは「学ぶことが楽しく感じられる」ところからスタート。
「楽しい」が学びのモチベーションになる。
↓↓↓
楽しいと学習が好きになり、努力を継続するようになる。(GRITが身につく)
↓↓↓
継続は力なり。人・本・旅から一生学び続ける人=高学歴な人となる。
どこそこの大学を卒業したという事実よりも、一生学び続けられるかの方が重要なのですね。
続ける力(GRIT)について↓
学びの本質を得る3つの視点
- タテ(歴史)
- ヨコ(グローバル)
- 算数(データ・エビデンス)
正しい知識を得る→自分で深く考える→自信を持って行動する!
この好循環を、大人も回せると理想的。
思考整理はアウトプットで
「教えることは、二度学ぶことになる。」
私が小学校高学年だった時の、担任の先生の言葉です。
自分の思考が整理されていないと、教えることはできません。
つまり、教えるという行動自体が、脳内の整理整頓になっているのです。
だとすればアウトプットは、伝える「誰か」がいた方が良いですね。
↓アウトプットについては、こちらの本の説明が分かりやすかったです。
参考図書&リンク
↓今回の本です。
↓国語教育の第一人者、大村はま先生の本です。同じタイトルで検索に引っかかりました。読んでみたいです。
↓お二人の対談、興味があります。出口治明・駒崎弘樹 (著)
あとがき
「教える」内容が心に響いていないなと感じることが多々あったので、何かの参考になればと思い、この本を手に取りました。
総じて読みやすく、絡まった糸がほどけていくような心地よい読後でした。
冒頭にも書きましたが、「教育」は表面的なものになると意味がありません。
目的や大事にしたいプロセスを念頭におき、5年後・10年後を見据えて、子ども達や部下への接し方を考えていきたいです。
余談ですが、、、、本書の最後の卒業生祝辞の一部抜粋は衝撃的。
斬新な考え方に色々と考えさせられましたが、私は多少の反感を覚えました。
もしこの人が自分の子どもor部下だったら、コミュニケーションを取るのに苦労しそうだなと感じたからです。
この社会は、助け合いのネットワークでできています。
自分で切り開いた道だからと、自分だけに感謝をするようでは視野が少々狭いのでは?(個人の意見です。)
今はバリバリ勉強したり働いたりできても、いつ、どこで自分の体が動かなくなるか分かりません。
「尖った人」であるのは大いに歓迎!でも、他者意識&感謝の心は忘れないでほしい。それが人間的に豊かな生活を支えている根本なので。
でもまあ偉そうにこんなことを言っている自分も、実は傲慢なところがあるのですけどね。
人のふり見て我がふり直せ。
謙虚な心を忘れないように、日々邁進していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今日も、良い1日を〜♪