今話題の著書、ファクトフルネス[著者:ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド、訳:上杉周作、関美和]を読んでの、感想&内容まとめです。
↓こちらで思考方法に関する本をまとめています。併せてどうぞ。
ファクトフルネスの感想
自分の価値観に“揺らぎ”を与えるには、充分すぎる内容の本でした。
メディアが流す「ドラマチックすぎる世界」を受動的に取り入れると、根拠のない不安に苦しみ、非現実的な希望を持ってしまいがちに。
読了後は、いかにして事実に基づいて物事を判断するかの、「指針」が得られました。
本書の中では、著者の若い頃の失敗体験もたくさん出てきます。
ハンス自身も試行錯誤を繰り返してきたのだなと、感慨深くなりました。
普段は目にすることのない、多くの写真や資料があり、まるで壮大な世界を旅している錯覚に。
中には衝撃的なものもありましたが、事実として知っておくべきことを知らなかったのだと、痛感しました。
コロナ禍の爪痕が残る今だからこそ、正面から向き合いたい本です。
↓TEDのトークでおなじみの、色鮮やかなバブルチャート。
世界地図では見えなかった、各国の現状が分かります。
読書ノート
↓どのような視点で世界を見るべきなのかを中心に、まとめました。
※自分の解釈をもとにまとめたノートです。詳しい内容は本書をご覧ください。
FACTFULNESS(世界を正しく見る)
「学校では教えてくれない世界の教養」という帯が、読み手の好奇心をくすぐります。
2020年5月現在、70万部突破のベストセラー。
環境・貧困・人口・エネルギー・医療・教育と、幅広い分野を網羅している本が、今まであったでしょうか?
大学の一般教養科目として学んでいたら、もう少し違う人生だったかもしれません。
可能主義者という考え方
著者であるハンス・ロスリングは、自分のことを「可能主義者」だと、本書の中で言っています。
可能主義者とは、現状をきちんと把握し、生産的で役立つ物の見方をもとに行動する人のことです。
何でも楽観視したり極端に捉えて悲観したりせず、事実を基に世界を俯瞰し、物事を判断します。
自分の能力と照らし合わせ、現実的に可能な目標を立てるところがポイントです。
その点で、楽観主義者や悲観主義者とは違うと、ハンスは言っています。
反対に、事実を捉えずにドラマチックな世界の見方をしていると、根拠のない不安や非現実な希望を持ってしまい、結果、不平不満を言うことになります。
マインドフルネスが「今」に焦点を当てているように、ファクトフルネスは「事実」に焦点を当てている感じでしょうか。
ただ淡々と、目の前にある「事実」を正しく捉えて自分のできることをやる。
まるで修行僧のようなイメージが浮かんできますが、ハンスはじっと耐えるのではなく、どんどん行動する人でした。
義理の娘であるアンナ・ロスリングの言葉:
父の中にはいつも、相反する2つの想いがあった。世界を心配する気持ちと、あふれるほどの人生の喜びだ。
FACTFULNESS (P328)
未知の病気や感染症にも、強い正義感を持って立ち向かう。
不可能を可能にすることを実証するために、剣を呑み込むパフォーマンスを思いつく。
本書の中では、ハンスの想いを端々で感じることができます。
生前は、さぞかし忙しい毎日だったのだろうなと思います。
関心フィルターと10の本能
では、人々が「ドラマチックすぎる世界の見方」をしてしまうのはどうしてなのでしょうか?
ハンスは、「関心フィルタ」と「10の本能」が原因となっている場合が多いと指摘しています。
人は、関心フィルターを通過した物事だけ見ているのであって、事実や正確なデータを見ているわけではありません。
先入観をはじめとする認知バイアスにより、自分に都合の良い情報や意見は、関心フィルタを通りやすいです。
本能を刺激するニュースも、簡単にフィルタを通ってしまいます。
メディアの影響も見逃せません。
いま起きている悪い出来事に人々の目を絶え間なく惹きつけるのがニュースというもの
FACTFULNESS (P86)
日常生活や小さな進歩をニュースにしても、視聴率が取れないからです。
ニュースの特性を知り、賢く取捨選択する必要がありますね。
10の本能については、本書P325に書かれている「大まかなルール」の図解が、とても分かりやすいです。
私が考えたイメージとは違うところもあり、改めて人の脳内はみんな違うのだと認識しました。
面白いな。
↓私の解釈による図解はこちらのノートにまとめています。
世界を正しく見るためのルール
原因が分かったので、次は対策です。
偏った物の見方をしないためには、関心フィルタを正しく機能させること、アンテナを高く張って事実を俯瞰視することが大事です。
関心フィルタを正しく機能させるためには、先ほど言及した10の本能をうまくコントロールする必要があります。
アンテナを高く張るには、好奇心と、物事の本質を捉える習慣が大事です。
一朝一夕につくものではありませんが、ファクトフルネスを読むことも、これらの能力を鍛えることになった気がします。
あとがき
非常に優れた専門家でも、物事を見誤ることがあります。
- 謙虚さと好奇心を忘れずに
- 世界を正しく見て
- 自分のできる最大限の行動をとって欲しい
これらが、ハンスの伝えたかったことなのかな。
読み終わった後も、まだ心の揺れを感じています。
結構分厚い本でしたが、2週間前にFACTFULNESS[プレジデント5/29号]を読んで概要をつかんでいたので、スッと頭に入りました。
質問の正答率も、チンパンジーよりも高かったです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今日も、良い1日を〜♪