やわらかい頭の作り方: 身の回りの見えない構造を解明する[細谷功(著)・ヨシタケ シンスケ(イラスト)]を読んでの、感想と要約です。
読書の感想
細谷功さんの本を読むのは、2冊目です。
前回の「具体と抽象」があまりにも面白く、他の本も読んでみたかったので図書館で借りました。
ヨシタケシンスケさんのイラストと相まって、漫画のように楽しく読むことができました。
主な内容は、世の中の現象を抽象化・概念化し、その関係を紐解く思考方法の紹介です。
すぐに枠にはめたがる「思考回路が凝り固まった人」にとっては、またとない処方箋で、読後は世の中の見え方が変わります。
参考↓前回読んだ「具体と抽象」のレビューです。こちらを先に読んだ方がわかりやすいと思います。
読書ノート
自分が思い出すためのトリガーとなるように、箇条書きでポイントを記録しました。
※自分用の備忘録です。内容や言い回しが違う箇所も多くあります。詳しくは本書をご覧ください。
思考回路を転換する
この本のゴールは、世の中の現象を抽象化・概念化し、その関係を紐解く思考方法の習得です。
枠にハマらない柔軟な思考で、情報の再構成をする。
まさに具体と抽象の行き来が大事になってくるのですが、実際には見えていない概念的なものの関係性を探って法則化するのは容易ではありません。
自分に足りないなと思った視点と、思考回路を転換するために意識したいとことを中心に、箇条書きで記録しておきます。
やわらかい頭への3ステップ
目指せ聡明な人!道のりは長そうですが、頑張ります。
1、自分哲学を持って価値観を磨く
コアとなる哲学があるからこそ、柔軟な価値観が生きる。
自分軸は大事ですよね。
「常識」を鵜呑みにせずに疑問を持ち続け、人間力を磨いていきます。
2、単純・高次元で考える
単純に考えることは、短絡的に考える(=深く考えない)こととは違い、複雑で膨大な情報を再構成すること。
抽象化の技術を駆使して、本質や根本的な問題を考えるようにします。
3、人付き合いのコツを心得る
人はみな、自分は特別だと思っています。
だから、相手の愚痴に「みんな同じだね〜」なんて枠にハメると反感を買うし、うまくいかないことに対して「自分の場合は特殊だから仕方がない」などと言い訳を思いつくのです。
対策:相手のことは特別扱いした方が良いし、自分は他者と同じと考えてみる。
よくよく考えてみると、相違点も共通点も意外とあるはずです。
つまり、決めつけると思考が止まるということ。
人間相手であっても現象相手であっても、共通点・相違点のどちらも考えるようにします。
意識すべきこと
ああなるほどと思ったことをまとめておきます。たくさんあったので、まるで目次みたいなノートになりました。
P55 中途半端に近づくと危険
ボクシングでパンチを食らうのは、遠く離れている時でも近づきすぎている時でもなく、中途半端に近づいたとき。
人間関係もしかり。中途半端な「知人」が苦手なのは、この原理によるのかもしれません。
P61 作用・反作用の法則
物理法則は、人間社会の法則にも当てはまる例がたくさん。
面白くないテレビが多いとボヤいていても、結局は視聴者がそういう番組を望んでいる。
返報性の法則(原理)も、なんだか似ている気がします。
P101 前提条件をチェック
行動や常識の背景を見ると、思考停止を防止できる。
表面的な現象だけを見るとモグラ叩き状態になり、根本的な問題を考えることが近道になります。
P125 リアル書店でセレンディピティ
バーチャルの世界は自分にとって心地よいものばかりに囲まれているので、犬も歩けば棒に当たるが如く外に出るべし。(今はコロナ禍で難しいなぁ。)
P134 大括りor小分け
整理収納だけの話ではなく、鶏が先か卵が先かの因果関係も考えよう。
適した枠がGoodということ。
P114 線は変えられる!!
人間が勝手に引いた線だから、当然問題は起きる。
後から柔軟に変えてもOK。
身の回りの線の例…学区、選挙区、ジェンダー、突き詰めれば時間だって人間が引いた線。
だから微調整が必要になってくるのですね。
〜つぶやき〜
「確率論」の人vs「決定論」の人の説明には、目から鱗が落ちました。
決定論は過去思考、確率論は未来志向。
人生一度きりなので、リスクを取って大胆に行動できる確率論の人になりたいです。
※詳しい内容は本書をご覧ください。
迷ったら基本原則に
やわらかい頭で考えるのは大事ですが、このご時勢、考えても考えても結論が見えない時も多々あります。
そうなるともう、個々人が感覚的に正しいと思うことを選択していくしかない。
その積み重ねで、この社会は良くも悪くもなるのだと思います。
結局のところは、マンパワー。
集団の意思決定やルール作りは論理に基づく必要があるが、個人を動かすのは感情や心理である(P114)
どんなに正しいことを言っても、感覚的・心理的にNGだったら受け入れられませんよね。
「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか? 経営における『アート』と『サイエンス』 (光文社新書) 山口 周著」で言及されていた「真・善・美」と重なりました。
↓「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか」本のレビューはこちら
参考図書&リンク
↓今回の本です。
↓細谷功さんの「具体と抽象」です。こちらの知識を得てから読むと分かりやすいです。
↓次に読んでみたい本です。テーマは自己矛盾。これまた面白そう。
↓今回使ったノートは、ブラウニー手帳2021のメモページです。クリーム色が目に優しく、サラッサラな紙質。裏写りがほとんどないので、重宝しています。
あとがき
「やわらかい頭の作り方」
今回は仕事の波が押し寄せてきていたため、1度読んでから、1週間くらい時間を空けてもう一度読みました。
すると不思議。
1回目はぼんやりとしか頭に入ってこなかったことが、なんだかスッキリ腹落ちする形で脳内整理されてくるのです。
ちょうど、味噌がうまいこと発酵するかのように、知識として熟成されたのかもしれません。
時間をおいたからこそ見えてきた、自分の経験や他の本とのつながり。
これが読書の醍醐味であり、面白いところ。
自分の読書ノートを「読む」と新たな発見があるのも、この小さな化学反応が起こるからだろうなと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今日も、良い1日を〜♪