大人のための会話の全技術[齋藤孝著]を読んでの、感想&概要のまとめです。
「 会話の全技術」感想
齋藤孝先生の全技術シリーズは、これで3冊全部読破しました。
どの本も分厚くて読み始めるまでは勇気がいりますが、抽象度の高い言葉や現象を、日常に置き換えて説明してあるので、読み始めるとスラスラッと最後まで読むことができます。
ただ、咀嚼して自分が活用できる形にするには、3冊とも時間がかかりました。それだけ内容が濃く、考えさせられる本です。5年後、10年後に再読し、もう一度深く考えたいです。
今回の「会話の全技術」は、コミュニケーションについて様々な方向から書かれていました。構成は、時代・社会背景、コミュニケーションの基礎能力、鍛え方、達人への道と、まるで大学の講義のように順序よく並べられています。
本書の1/4を占める最終章:「歴史を動かしたスピーチ7選」は、断片的にしか読んだことがないものばかりでした。精読することにより、改めて心を揺さぶられました。
今回の読書ノート
自分が活用しやすいように図解でまとめました。全部で4ページあります。
1、2ページ目
3、4ページ目
※自分の解釈でまとめたものです。本の内容とは違うところがあります。
コミュニケーションの全技術
小手先のテクニックではなく、この時代や社会に合ったコミュニケーション方法や、人となりを磨いていく方法が書かれています。
では、詳しくレビューしていきます。
時代・社会背景から見るコミュ力とは?
パソコンやネットの出現により、効率化が優先されるようになってきました。これは誰もが体感していることではないでしょうか。
ネット上では、「瞬時に、欲しい情報が正確に手に入る」と言うデフォルトが成り立っているので、仕事で求められる人材も、「速くて正確で信頼できる人」が当たり前になってきています。なんとも厳しい時代ですね。
一見ドライに見えるこの時代ですが、斎藤先生は、そんな時代だからこそ「濃密かつ簡潔なコミュニケーション力」が必要だと訴えています。
「濃密かつ簡潔なコミュニケーション」で大事なこと:
- 目を見る
- 微笑む
- うなづく
- 相槌を打つ
適度な距離感で言葉のキャッチボールをすると、お互いの脳内ネットワークのどこかでスパークし、インスピレーションが浮かぶ………化学反応みたいです。
確かに、人と話をすることで問題が解決したり、新しいアイデアが出たりすることは、経験上たくさんあります。
認めてしまうと苦しくなるのですが、、、ありきたりの仕事を、真面目に自分のペースで1人黙々とやるのは、実はAI(人工知能)でもできること。これからの時代に必要なのは、より人間的なコミュニケーションで新しい価値を生み出す力ということですよね。
人見知りの私にとってはハードルが高いのですが、、、もっとコミュニケーション能力を磨いて、積極的に人間関係を築いていく努力をしないとダメだなぁと感じました。
人間関係はゲームとして捉えよう
第1章の中盤で、この難しい時代の現実を突きつけられて沈んでしまった私ですが、「人間関係はゲームとしてとらえよう」という言葉に、少し救われました。
困りごとのほとんどは「保身」と「嫉妬」というキーワードで説明ができるそうです。
私も、「保身」によって一歩踏み出せなかったり、「嫉妬」によって持つ必要がない嫌悪感を抱いたことは、結構あります。
冷静に客観視すれば、人生&人間関係はゲームとして楽しめるのかもしれません。
そして、どんなに時代が変わっても、「公正明大」な判断をすることが重要だと、本書の中で齋藤先生が言っています。自分に余裕がない時は難しいですが、、、なるべく全体を俯瞰した配慮ができるようになりたいものです。
SNSとの付き合い方
私は、SNSも一種のゲームのように感じています。
本書の中で、「現代社会はお互いの時間を奪い合う社会」だと書かれていました。情報に踊らされ、情報に飢えて検索に時間を奪われる。これが誰かの手による故意のものだったら、、、考えただけでゾッとします。
では、自分らしく生きるためにはどうすればいいのか?
ネット系のコミュニケーションツールは、上手に活用すれば優れた情報源となるはずです。コミュニケーションツールを賢く選んで、時間の手綱は自分が握る!これに尽きるのではないかと、私は思います。
要約力を磨いて基礎能力をつける
第2章では、コミュニケーションをとる上で欠かせない基礎能力について書かれていました。
まずは、どんな時でも上機嫌に!!そして、サーフィンのように文脈の波に乗る!!
ブスッとした顔の人とは、会話をしたくないですよね(笑)。相手と心地よい文脈の波を作るには、共感ベース(共通のこと)を見つけようとする姿勢がキーポイントになります。
共感力と共感喚起力は表裏一体で、自分が相手のことを深く理解しようと努めていると、相手も自分のことを理解しようとしてくれます。
文脈力を鍛え、お互いの思考を見える化するには、マッピングコミュニケーション(図化する)と良いらしいです。なるほど。打ち合わせなどで活用できそうです。
しかし、どんなに心で相手を理解しようと努めても、要約力が足りないと、会話が心もとないものになってしまいます。
要約力とは、論旨の抽象度を低くする、つまり、適切な言葉で分かりやすく表現する能力のことです。新聞の音読、本の帯、ニュースのキャッチコピーなどに注意を向け、語彙力を増やしていくことで磨かれます。
要約のコツ3つ:
- 感情を読む
- 言い換える
- 引用する
↓↓↓つく力↓↓↓
- 指示する力
- 相談する力
- 教える力
- スピーチ力
指示・相談する力は、この社会で生きていく上では必要不可欠の能力です。そして、教える力やスピーチ力がある人は、人を育てたり、人の心を動かしたりすることができます。
<参考:教える時の5ステップ>
- アウトライン(Goal)を提示
- やらせてみる
- 手本を見せ、違いを認識させる
- もう一度やらせる
- 反復練習をさせる
<参考:人を動かすスピーチ3本の矢(最終章に詳しく書かれています)>
- ミッション………自分たちの「使命」を論理的に伝える!平易な言葉でシンプルに。
- パッション………苦境を乗り越えるための「情熱」を伝える。理屈だけではNG。同志たちへ伝えるように丁寧に。
- ハイテンション…「共感」させて心を揺り動かすと、傍観者だった人が行動する当事者になる!この明るく前向きな気持ちが大事。
身体を使ったトレーニング方法
第3章では、コミュニケーション力を、身体的に鍛える方法が書いてありました。
目線・呼吸・姿勢を意識して、書くように話をする!!
- 目線を上げて、相手に言葉を届ける。
- 丹田呼吸法で、張りのある声を保つ。
- 相手の姿勢と感情に合わせて、柔らかく表情を動かす。
私は声がこもりがちなので、丹田呼吸法を実践してみようと思います!!(詳しくは本書P162〜に書いてあります)
<トレーニングの例>
音読 / 声を出して笑う/ ハミングで頭蓋骨を震わせる(自分に合った声を見つける)
応用編:達人になるためのテクニック
第4章のまとめは、私が内容を思い出せるように図化し、トリガーとなるような言葉を書き留めたものです。ここから先は、完全に自分の忘備録なので、実際に本を読んでもらう方がわかりやすいと思います(^◇^;)
雑談力と会議力は、種類の違う力だと感じたので対立の矢印を描きました。
→説得力は、「同じ方向を向いて進む」という観点から、会議力とつなげました。
↓コメント力と質問力は、フリーアナウンサーになったようなイメージで鍛えていけばいいかな〜。質問力は、話題を広げるという意味で雑談力とつなげてみました。
↓プレゼンテーションと講演力は、聴く人の前提知識をきちんと把握して、ゴールまで1つ1つ置き石をしていくイメージです。
私は主語が抜けたり、話が飛んだりすることが多いので、聴く人の反応を見ながら滑らかな置き石ができればいいな。。。。
歴史を動かしたスピーチ7選
最終章では、次の7つのスピーチが解説とともに紹介されていました。
- マララ・ユスフザイ
「国連スピーチ」 - ムハマド・ユヌス
「ノーベル平和賞受賞記念スピーチ」 - ネルソン・マンデラ
「刑務所から釈放直後のスピーチ」 - マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
「ワシントン大行進スピーチ」 - ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ
「大統領就任スピーチ」 - マハトマ・ガンディー
「塩の行進前夜のスピーチ」 - 夏目漱石
「私の個人主義(学習院スピーチ)」
参考図書&リンク
↓今回の本です。コミュニケーションにつまずいた時の道しるべになります。辞書をひくように、解決の糸口が見つかってスカッとします。
↓今まで読んだ、齋藤孝先生の全技術シリーズ&本のレビューです。※書く全技術は、本のリストが主です。
まとめ
- 上機嫌に、公正明大な判断をすれば間違いはない!
- 目線・呼吸・姿勢を意識して、書くように話をする!
- 人の心を動かすには、ミッション・パッション・ハイテンション!
要約力を磨くために、難しい語彙とたくさん出会える齋藤先生の本を、もう少し読んでみたいなと思いました(^^)
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
おやすみなさ〜い♪