知性の磨き方[齋藤孝著]感想&内容のまとめ

知性の磨き方[齋藤孝著]を読んでの、感想&概要のまとめです。

読書の感想

知的好奇心をすごく揺さぶられる、この感覚。

齋藤孝先生の本を読むたびに、学生の頃に感じていた「学ぶ面白さ」を思い出します。

知性は車の運転と同じで、訓練すれば技術として磨くことができる。

1〜3章では、歴史上の人物の知性を追体験し、それを自分の知性として組み入れる方法論を展開しています。

斎藤先生の語りがとても丁寧なので、国語と社会は苦手科目だった私でも、すっとその時代を生きた偉人たちの人生へタイムスリップできました。

4章、5章では、現代の政治家の思考、哲学、学問を探求する姿勢などを、知性と絡めて話を膨らませています。

読めば読むほど、人生に深みがでる本です。

読書ノート

自分が実践しやすいように、ロールモデルとして登場する人物を中心に、簡単にまとめました。

※自分なりの解釈を含んでいます。詳しい内容は本書をご覧ください。

知性の磨き方

知性は車の運転と同じで、訓練すれば技術として磨くことができる。

その訓練の第一歩が、「理解すること」だと、齋藤先生はおっしゃっています。

知性は「理解」で駆動する

先入観を持たずに正しく理解することで、正しく判断し、正しく行動できる。

例えば人間関係。

どうしても苦手な人を「好きになる」のは難しくても、「理解しようとする」ことはできます。

考えてみると仕事場では、感情ではなく、理解によって築く関係の方が多い気もします。

国家間の関係も、「好き」「嫌い」の関係ではなく、理解力に基づく関係であれば、時間はかかるかもしれませんが、強固な絆になります。

現実には、複雑な事情が絡み合っていて、なかなかそうはいかないのでしょうが、「理解しようとする」姿勢があれば、争いを回避できた場面があるのかもしれません。


ただし、どんなに理解しようとする姿勢があっても、知性は一朝一夕に身につくものではありません。

知性とは困難や厳しい現実に直面したときに、その原因が何かを見極め、取りうる選択肢を探し対処する力に他ならない。

知性の磨き方:裏表紙

著者は、自分の知性を高めるためには2つのステップがあると説明しています。

  1. 知性の大切さを理解し、自分の知性を高めるために様々な苦労や試行錯誤を自分で経験する
  2. 経験だけで足りないところを、過去の偉人たちをロールモデル(手本)として、読書などで彼らの思考過程を追体験することによって補う。

本書では、この「追体験」を、齋藤孝先生が優しくナビゲートしてくれました。

過去の偉人からの学びどころ

↓本書に登場する夏目漱石、福沢諭吉、西郷隆盛の3人の偉人について、学びどころを自分用に記録しておきます。

夏目漱石

漱石の悩んできたエピソードに共感を感じつつ、その誠実さ、真面目さ、勤勉さに心打たれました。

とりわけ、利他の精神・他人を拒絶しない器の大きさは、ロールモデルにするにはかなり高貴で、漱石の偉人たる理由がわかります。

滲み出る優しさは、自分が悩み、苦しんできた経験があるからなのでしょうね。


P54〜P64では、漱石の講演録をもとに、齋藤先生の仕事への考え方が書かれています。

「仕事の中に『自己本位』の要素を確保する」

知性の磨き方 P58

基本的に仕事は利他的である必要がありますが、その中でほんの少しでも「自己本位」、つまり「自分のためにやっている意識」が持てれば、それが「息をする足場」になると、齋藤先生はおっしゃっています。

なるほど!

何度も何度も読み返しました。

そして、これこそが私が自分の仕事を好きな理由であり、自分を成長させてくれる要素なのだなと思いました。

福沢諭吉

幼少の頃に「喜怒色に顕さず」(=きどいろにあらわさず:他人がどうこう言おうと気にしない)という考えに辿り着いた福沢諭吉。

高い知性を武器に、「嫉妬」や「保身」とは無縁の人生を送ります。

芯がしっかりしているから、激動の時代でも自分を見失わずに柔軟に考えを変え、今、何をすべきかを冷静に判断できたのですね。

↓参考にした本書のページ

知性は物事を整理し、心の恐れをも減らす

知性の磨き方 P102〜

良い意味でのドライさを持ち、心身を整えることのできる自分でありたいです。

西郷隆盛

明治維新に尽くしたゴッツイ人物(失礼)としての印象の西郷隆盛ですが、本書を読んで、彼のファンにならずにはいられませんでした。

私はフワフワしたところが多いので、肝が据わっている人に惹かれるのかもしれません。

清濁併せ吞む=身に起こる良いことだけでなく、悪いことも全て受け入れるその姿勢。

ピンチをもチャンスに変えることができた西郷隆盛は、さぞかし臍下丹田に気がみなぎった冷静と情熱の人だったのでしょうね。

現実をしなやかに受け入れ、その全てを自分の糧とする。

そんな知性みなぎる人間に、私も近づきたい。


3章の終盤に、西郷隆盛が大切にしていた考えとして、「孔子」の三徳「知仁勇」を取り上げています。

「知」=知性・判断力
「仁」=優しさ・誠実さ
「勇」=勇気・行動力

齋藤先生は、現代の若者には「仁知勇」のうち、「勇」が極端に足りない人が多いと、危惧しています。

ドキッとしました。

どこか守りに入っている自分、言い訳を考えて行動しないでいる自分の存在を、ピタリと言い当てられたような気がしました。

↓三徳については、こちらの記事でノートにまとめています。

折に触れて思い返したい、重みのある言葉たちです。

手帳で知性の技を磨く方法

「喜怒色に顕わさず」「清濁併せ吞む」などの考え方を習得する方法の1つとして、齋藤先生は手帳を活用することを推奨されています。

一度にたくさんは難しいので、フランクリンプランナーの1週間コンパスのように、1週間の指針として書き留めておこうと思います。

参考図書&リンク

↓今回の本です。

↓同じ著者の読書術です。読書の価値観が変わります。

読書術に関しては、いろいろな本を読んで刺激を受けています。

それぞれが違う持論を展開しており、読書のための本なのに、深く読んで楽しんでいます。

3つほど、書いておきます。

↓幅広い教養を得るための読書術です。

↓多読を自慢する人への警笛を鳴らし、本との出会いを大事にできる本のレビューです。

↓アウトプットの重要性を説いた本です。

知性と一緒で、全てを取り入れるのではなく、自分の身になりそうな部分だけを参考にするようにしています。

おまけ:↓知的な生活とはどんなものかを、突き詰めた本のレビューです。

あとがき

本書の中で、どんなことも楽しむことができるのも知性の一つであるという考えが紹介されていました。

つまり、知性がある人は、物事や場に柔軟に対応して、自分を変えることができる人。

難しい討論もウェルカムなのに、アホ丸出しの飲み会でも心底楽しめる。

そして、逆境すらも面白いと思える柔軟さ。

もしかしたら「生きる力」とは、知性によって人生を楽しくする力なのかもしれません。

できることが増えるより、楽しめることが増える方が良い人生(^^)



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今日も、良い1日を〜♪