読書する人だけがたどり着ける場所[齋藤孝著]を読んでの、感想文と要約ノートです。
あらすじ&読書感想文
インターネットと本では、情報に対する構えや向かい方が違う。
読書だからこそ得られる「認識力」「想像力」をはじめ、幅広く実践的な知識を教養へと深めるための、「本の読み方」と「読書の効能」について書かれた本です。
明治大学文学部の教授である齋藤先生の文章は、いつも知的でスマートです。語彙力がない私にとっては、新しい表現との出会いの場にもなっています。
私が本書を読んで考えた「読書する人だけがたどり着ける場所」は、深い思考と会話が楽しめる“知のオープンエンド”です。
知のオープンエンドとは、どこまでも行っても終わりのない学問の世界のこと。脳科学者である茂木健一郎さんの著書で紹介されていた概念です。
↓詳しくはこちらの記事でまとめています。
本書のタイトルは「たどり着く場所」なのですが、実際には、もっともっと深くまで追究したくなる世界なので、教養ある人にとってはまだ通過点なのかもしれません。
人間、満足したらそこで成長が止まります。
本を読めば読むほど、さらに知りたいことが出てきて、関連した本を読む。この、飽くなき一連のサイクルが、深い思考と、知的な会話の世界へと続くのだなと思いました。
読書ノート
知識や教養を積み上げていく過程を、まとめました。一朝一夕に身につくものではありませんが、知は誰にでも開かれているものだということが、良く分かりました。
※自分なりに咀嚼してまとめたノートです。詳しい内容は本書をご覧ください。
仕様したペン:
ジュースアップ ノック式 0.4mm・ブルーブラック&メタリックピンク
マークタス・青ツイン&紫ツイン
クリーンカラードット・サマーサン
マイルドライナーブラッシュ・グレー)
読書する人だけがたどり着ける場所
読む本のジャンルによって、種類の違う、様々な力が身につきます。本文の引用とともに、“知のオープンエンド”にたどり着くまでの過程を、自分の解釈で分析します。
認識力と想像力が磨かれる
本質を捉えるためには、多角的な視点でものごとを見る力が必要です。古典・哲学などを読み、偉人達の知恵や器の大きさを感じると、捉え方の幅が広がります。
一般的に「知的」とは、知識が豊富で、言語的な認識力が高い人のことを言います。同じ事柄を読んだり聞いたりしたときにも人によってどう捉えるかは違います。認識力の高い人は、より深く情報を捉え、理解することができます。(P37)
人間が一生で体験できることは、たかが知れています。
それをカバーできるのが、読書による疑似体験・追体験であると、齋藤孝さんは述べています。
文学や伝記を読むと、登場人物の姿を頭の中で想像し、感情移入したり、登場人物や偉人達の人生の疑似体験をすることができます。
この読書による豊富な体験が、コミュニケーション力の根底にある、複雑な感情を理解する力となります。
人が人と関わりながら生きていくうえでは、他人の気持ちを理解して認め、受け入れることが必要とされます。それによって、自分自身が成長するし、人生を豊かにしていけるのです。(P151)
海外に行かなくても、タイムマシーンに乗って過去に行かなくても、目の前の本によって人生の何倍もの追体験ができる。読書の効能は素晴らしいです。
自分とは異なる人たちのことを知ると、アイデンティティーを確立できるメリットもあります。
幅広く実践的な知識を手に入れる
人間は、放っておくと自分の興味関心のある本だけを選ぶ傾向にあります。私もそうです。
一つのことを極めるのも大事ですが、専門外の書物によって得られる知識が、認識力や想像力をさらに高めてくれるのも事実です。
井の中の蛙にならないためにも、バランス良く書物を選びたいです。
思考力で人生の豊かさを感じる
本のおかげで増えた経験値によって、人に対する心のあり方・自分の人生の見方が深まります。
人生の豊かさとは、考えることを楽しみ、人間として生まれてきて良かったと思えることかもしれません。
↓参考文献2冊(どちらも齋藤孝著)
知識と認識力はセットになっているので、多くの本から知識を得て、メモをしながら考えるのを習慣にしたいです。
知識・教養が人格に滲み出る
さらに読書を続けると、まるでなんどもペンキを塗り重ねるかのように、人格にも人生にもツヤが出てきます。
ものごとの本質を見抜けるのはもちろん、さらに奥にある深みをも感じ取ることができるようになる。そんな複雑な楽しみ方が分かるようになると、この世の中を生きるのがもっと面白くなりそうです。
知のオープンエンドへ
複雑な見方ができるようになると、知的に驚いたり、楽しんだりすることがどんどん増えていきます。
印象に残った文章があります。
驚くべきことに驚けるのは、実は教養があるからです。知識豊富で教養豊かな人は、もうあまり驚くことがないのではないかと思われるかもしれませんが、逆なのですね。知れば知るほど、心の底から驚くことができるのです。(P99)
確かに。
日本経済新聞の数字だらけの紙面数ページを見て、満面の笑みを浮かべたり、のけ反って驚いたりできるのは、経済に関する知識・教養がある人です。
私には暗号にしか見えず、全くピンとこないので、まだまだ知識の偏りがある証拠です。
知識は芋づる式につながって、そこからさらに興味関心が広がる。つまり、知識や教養がつけばつくほど、もっと深くまで追究したくなるのです。
それが、読書をする人だけがたどりつく場所、終わりなき知的生活の世界=“知のオープンエンド”なのではないかと、私は考えました。
名著10選の紹介
齋藤孝さんが本書で紹介した30冊から、私が読みたいなと思った本の題名と出版社を、選んだ理由と一緒に記録しておきます。※自分のための忘備録です。
「思考力を高める名著」より
「我思うゆえに我あり」という有名な言葉が出てくる本。理性を武器にした真理の探究と、方法的懐疑(真理に近く思考方法)について学んでみたいです。
↓哲学についての本は、こちらも面白かったです。
剣豪・宮本武蔵が60歳の時に書いた本。心技体の融合と、達人の認識力を感じてみたいです。
■君主論[ニッコロ・マキアヴェッリ/著] (講談社学術文庫)
現代の経営者やリーダーの愛読書。マキアヴェッリの合理的で実際的な考えに触れてみたいです。
「構造主義」の入門書。入試にもよく出てくるこの本で、内田さんの文章や生き方を学びたいです。
「現代に必要な知識が持てる名著」より
■E=mc2 世界一有名な方程式の「伝記」[デイビッド・ボダニス/著] (ハヤカワ文庫NF)
アインシュタインの方程式(E=mc2)にまつわるノンフィクション。方程式誕生や実用化への壮大なドラマを見てみたいです。
素粒子物理学で宇宙の謎に迫る本。ミクロとマクロの世界を知り、宇宙の成り立ちや未来について思いを馳せてみたいです。
神話〜現代の哲学まで、日本人の思想を一気にたどることができる本。時代による文化や慣習に触れ、東洋人としてのルーツを探ってみたいです。
■人類の未来[ノーム・チョムスキーほか/著] (NHK出版新書 513)
世界的な学者や思想家たちに、AI、経済、民主主義などについてインタビューしている本。吉成真由美さんの質問力も感じてみたいです。
「人生の機微に触れる名著」より
中勘助が子供の頃の自伝的小説。明治〜大正にかけての話。著者の独特な感性や、優れた言語表現に触れてみたいです。
「人生を深める名著」より
詩人である茨城のり子さんが自分の好きな詩を選び、情熱を込めて語った本。茨城さんの豊かな感性と優しい言葉に背中を押してもらい、詩の世界を味わいたいです。
参考図書
齋藤孝先生の、「読書術」に関する本をまとめてみました。
↓今回の本です。
↓こちらの本も面白かったです。
レビューはこちら↓
↓最新の本です。
本は読んだらすぐアウトプットする! ―「話す」「伝える力」「書く力」がいっきにつく55の読書の技法
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まとめ
読書習慣によって、人生はもっと面白くなる!
“知のオープンエンド”で繰り広げられるのは、深い思考の掛け合いと、探究心に満ちた対話です。
未だ見ぬその世界に、いつかたどり着きたいな、、、。そんな淡い夢を見つつ、今日も地道に本を読んでいます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
読書の効能には、辛く苦しい時に前に進んでいく勇気を与えてくれるという側面もあります。
コロナウィルス関連で疲弊しそうな毎日ですが、今が踏ん張り時。せっかくなので、子ども達と一緒に本を読む時間をたくさん取りたいと思います。
今日も、良い一日を!