親として読んでおきたい本「22世紀を見る君たちへ[平田オリザ著]」

22世紀を見る君たちへ[平田オリザ著]を読んでの、感想&読書ノートです。

※関連書籍のノートと一緒に写真を撮影しています。

内容と感想

本書は、著者が実践している教育内容と、これからの世界を生きる子ども達がどのような力をつけていくべきかを考えさせられる本です。

つまり、本の表紙にいるような中高生が読むのではなく、その親御さんや教育関係者向けということ。

もうすぐ中学生の娘が読めるかな・・・と思って図書館で借りたのですが、ちょっと違いました。

内容としては、大学入試改革などの教育の大きな転換期における実践や著者の考えが主になっており、巻末付録「22世紀ための問題集」には実際に使えそうな演習問題があります。

ただし、「教育のことはわからない」「なぜなら、未来はわからないから」という主張から始まる本書では、明確な答えは出ていません。

むしろ、読んでみて自分の頭で考えなさいと突き放されたような読後感で、誰かと議論したくなりながらノートにまとめました。

心に余裕がある時に読むのをお勧めします。

読書ノート

今回は、私なりに理解したことと、自分の子ども達にどのような環境を準備すれば良いのかという観点でまとめています。

※自分のためのまとめノートです。順番や言い回しが違う箇所が多くあります。詳しい内容は本書をご覧ください。

学びの伸びしろを作ろう

「未来の教育のあり方」については、親のみならず、おそらく教職に関わる方々も悩まれているのではないでしょうか。

だからこそ子ども達自身が、どんな未来がやって来ても、しなやかに受け入れて対応できる力が大事。

本書ではその力を「学びの伸びしろを増やす」と表現しており、スッと腹落ちしました。

学びの伸びしろとは、自ら学びを組み立てて、自分の役割を見極め、きちんと担う力のことです。

必ずしもグループでリーダーになってぐいぐい引っ張っていくことけが優秀なのではなく、グループにとっての適切な課題を見つけ、人員の特性を理解した上で自分に適した役割を責任もって行うのが本物の力。

この力は、社会に出ても役立つ汎用性の高いもので、学びの伸びしろが増えれば増えるほど、適応力が高くなります。

教育用語で「主体的」と表現されているのに近いものがあるのかもしれません。

主体的・対話的で深い学びとは

学習指導要領に出ており、学校からの手紙にも頻繁に書かれている「主体的・対話的で深い学び」。

親としてのざっくり解釈は、「知識や技能をもとに自分で課題を設定し、周りの人との粘り強い話し合いを通して、自ら判断して解決するという学び方」という感じかな。

何度か授業参観に行きましたが、この学び方を40人全員ができているクラスには遭遇したことがありません。(いや〜無理でしょ。)

話が横にそれました。

学びの伸びしろを増やすには、この主体的・対話的であることがとても重要になってくることは間違いなく、コミュニケーションスキルにもつながります。

対話ができる → さまざまな人とうまくやっていける → 寛容力がつく。

寛容力については、著者は「文化資本」というキーワードで解説しており、これまた目から鱗で納得しました。

※詳しい解説は本書をご覧ください。

学びの共同体を創っていく

知識や情報量をはかる試験から、本質を見極める試験にどんどん変わっていく現代では、協調性やコミュニケーションなどの、数値化できない「非認知能力」を高める必要があります。

ここで大事になってくるのが、「何を学ぶか」よりも、「誰と学ぶか」。

つまり、学校や職場に共に成長できる多様性のある仲間がいて、日々、対話を重ねるような環境があればよし。

まさしくこれは、言うは易く行うは難し。

それでも、教育現場にしろ職場にしろ、少しずつですが変わってきています。

さまざまな考えを受け入れ、対話を重ねることへの抵抗も、年齢が下がるほどなくなってきてるように思います。

ここでついた非認知スキルもまた、学びの伸びしろ。

生きていく上で必ず自分を助けてくれる力となります。

↓GRITについてはこちらの記事でまとめています。

参考図書&リンク

↓今回の本

↓平田オリザさんの他の本

学校の面白いを歩いてみた。[前屋毅著]感想&概要まとめ

あとがき

未来の宝物である子ども達の通る道を、本気で考えている大人はどのくらいいるのだろう?

私自身がそうなのですが、何も考えないでいると、自分の受けた教育を「正しいもの」として同じような環境しか準備してあげられない。

VUCAの時代に生きる子ども達に少しでも寄り添うために、本を読んだり、周りの状況を俯瞰したりして、試行錯誤で環境を作っているのが現状です。

家庭でできることとしては、やっぱり礼儀・対話などが主になるかな。

思春期になると会話すら難しいこともあるのですが、一人の大人として、子ども達が未来に希望を持てるような「今」を見せてあげたいです。

VUCAについては、こちらで解説しています。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今日も、良い1日を〜♪